『英文解釈』
中学まではほとんど聞かないのにも関わらず
高校になると急に頻繁に授業や塾などで耳にするようになる単語です。
現行の大学受験指導において
『英文解釈』の要素は欠くことのできないものになっています。
では、そもそも英文解釈とは一体何なのでしょうか?
☆英文解釈とは?
英文解釈とは、僕の中での解釈は
- 文法知識を使って、SVOCを取りながら名詞・形容詞・副詞などのカタマリに分けて論理的に読んでいく。
- その訓練をすることで『英語を前から英語のままカタマリごとに処理できる』ようにする。
※英文解釈を『日本語訳をする』ためにするんだという意見もあるかもしれませんが、僕はあくまで『英語を英語として前から処理する能力を身につける』ためのものだと思っています。
僕自身、予備校などで指導する際には
英文解釈の授業をすることも少なくありません。
特に、京都大学などの英語の指導などになると
どう論理的に英文を読み解いていくかという視点が非常に重要になりますから
英文解釈の知識を使って指導することも多いです。
しかし、以下の記事でも紹介したように
本屋さんには『異常な数の英語参考書』が置いてあるのでどれを選んでよいか悩んでしまうのですよね。
また、英文解釈といってもただ漫然とやり続けるだけでは
なかなか成果が出ないやり方のままやり続けてしまうこともあります。
というわけで今回は
『【英検1級講師が語る】成果の出る英文解釈のやり方&参考書』
をお届けします!
目次
【英検1級講師が語る】成果の出る英文解釈のやり方&参考書
①成果が出る英文解釈のやり方
冒頭の方で、英文解釈では
『成果の出るやり方』と『成果の出にくいやり方』があるとお話ししました。
ではまず、『成果の出にくいやり方』とはどのようなものなのか
見ていきましょう。
成果の出にくい英文解釈のやり方
- 英文をSVOCや名詞・形容詞・副詞のカタマリに分けながら読んでいく。
- その結果をもとに、自分なりの日本語に訳してみる。
- 答えを見て、SVOCや訳が合っているか確かめる。
- 間違っているところを確認し、次の問題に進む。
どうでしょうか?
一見すごく成果の出そうな手法だと思いませんか?
僕自身も高校生の頃はこのような手法をとっていてあまり成果の出ない英語学習になってしまっていた時期があります。
この英文解釈のやり方はほとんどOKなのですが、少しだけ変える必要があります。
というのも、上のやり方は英文解釈をやるうえで
あまりよくないことを『3つ』してしまっているかもしれないのです。
それは以下の通りです。
英文解釈をやるうえで陥りがちな3つの罠
① 英文を見てすぐに日本語訳を作ろうとしてしまう。
② 答えの解釈と日本語訳を見てわかった気になってしまう。
③ 英文を正しく分析したところまでで勉強が終わってしまっている。
ここからは1つずつ原因と対処法を見ていきましょう。
①英文を見てすぐに日本語訳を作ろうとしてしまう。
①の『英文を見てすぐに訳を作ろうとしてしまう』という部分に関してですが
英文解釈の勉強をするときに
となってしまう人が非常に多いです。
しかし、そもそも英文解釈の本来の目的は
『英語を前から英語のままカタマリごとに処理できる』ことであり
『英語を日本語に直す能力を身につける』ことではないはずですよね。
『日本語⇒英語にすぐ訳す』ということばかりしていたら
『英語を日本語に直す能力』は身についても
『英語を前から英語のままカタマリごとに処理する能力』は身につきません。
ですから、英文解釈をやるときは
『まず文構造などを考えながら英文全体を英語のまま何回も読んでみる』
ということをしてみてください。
英文解釈の参考書は
今の自分のレベルより難しいものを使うことになると思いますので
なおさら何度も読んだ方がよいと思います。
【英語⇒日本語】に直すのは何回も英文のまま読んだ後で
最後の最後にやるようにしましょう。
もちろん、英語だけでは意味がとりにくい部分を
日本語も使いながら意味を取るようにするのは
全く問題ないことだと思います。
しかし、最初からいきなり
日本語訳を紙に書き始めるような英文解釈の勉強は
避けていただきたいなと思っています。
では次に
②答えの解釈と答えを見てわかった気になってしまう。
についてお話しします。
②答えの解釈と答えを見てわかった気になってしまう。
たとえば私が生徒さんを指導していて
問題集を解いてもらった後に
質問があるかどうか聞くと
と返答が返ってくることが多いです。
しかし、その後本当にわかっているか確認するために
チェックテストをすると
となってしまうパターンが非常に多いです。
なぜこんなことになってしまうのかというと
『解答を読んで、答えが何かはとりあえず理解した』
『日本語訳を読んで、訳はとりあえず理解した』
という状態になってしまっていて
『なぜその解答が導き出せるのかをじっくり考える』
『もう一度英文に戻って、なぜその英文から答えの日本語訳が出てくるのかを考える』
ということをしていないからなんです。
これはやっている本人も自覚していないことが多いのですが
最初のうちはかなり多くの人が陥りがちな状態です。
英文解釈の答え合わせをするときは、答えの日本語訳を見て満足するのではなく
もう一度英文に戻って『英語⇒日本語』を自分の力でやってみるようにしましょう。
では最後に
③ 英文を正しく分析したところまでで勉強が終わってしまっている。
について見ていきましょう。
③ 英文を正しく分析したところまでで勉強が終わってしまっている。
正しく英文を理解し、日本語訳もしっかり自分なりに考えた後
そこで勉強を終えてしまう人が非常に多いです。
しかし、それは非常にもったいないんですね。
なぜならそこまででは『理解した』という段階で勉強がストップしてしまっているからです。
せっかく自分が理解した英文ですから『頑張らなくても自然に理解できるレベル』にまで落とし込みたいですよね。
ではそうするためには何が必要なのでしょうか。
頑張らなくても自然に理解できるようにするためには…
その英文を何度も『音読』してみてください:)
自分が理解した英文を何度も音読することによって、自分が今まで訳し上げたりしながら
読まないと理解できなかった文章に対して慣れを作ることができますし
英文を頭から読んでスムーズに理解できるような頭の回路を徐々に作り上げていくことが出来ます。
音読の回数としては20回~30回くらいを目安に
やり始めてみるとよいでしょう。
では、上記のことを踏まえて『成果の出る英文解釈のやり方』を見てみましょう。
成果の出やすい英文解釈のやり方
- 英文をSVOCや名詞・形容詞・副詞のカタマリに分けながら読んでいく。
- すぐに訳を作ろうとせず何度もその英文を繰り返し読んでみて、文章全体の流れと意味をつかもうとしてみる。
- 答えを見て、SVOCや意味が合っているか確かめる。
- もう一度英文に戻り、誰かに説明しているつもりでその英文の構造を自分に説明してみる。
- 自分がわからなかった部分を、自分が感覚的に理解できるようになるまで何度も音読してみる。(目安は20~30回)
- 次の問題に進む。
どうでしょうか。
成果が出にくい英文解釈のやり方とは違う点は②・④・⑤ですね!
ここまでやるのは時間がかかりますが
やれば必ず成果が出ますので
このやり方で進めてみてくださいね!
②段階別!オススメ英文解釈テキスト
ではここからは僕のおすすめの英文解釈のテキストを段階別にご紹介していきます。
(1)高校英文読解をひとつひとつわかりやすく。
値段 | 1188円 |
発売日 | 2014/9/22 |
対象 | 高校の標準レベルの英文の読み方を知りたい人 |
カバー範囲 | 高校基礎~中堅私大・センター試験レベル |
おススメ度 | ★★★(とてもオススメ!) |
このテキストは以前に書いたこちらの記事でも紹介しました。
下で紹介する『カリスマ講師の日本一成績が上がる魔法の英文読解ノート』と
『吉ゆうそうの英文読解 解テク101』『英文読解の透視図』も紹介しています。
よろしければご覧ください。
この参考書は『高校レベルの英文解釈を最初から学んでいきたい』という方に非常に向いています。
一般的に英文解釈の参考書は解説している内容の割に単語が難しすぎたり、内容が難解すぎたりするのですが
この参考書に関してはそういったことがなく易しい単語や例文を使ってくれているので
単語や内容の難しさに気を取られることがなく英文解釈の勉強だけに集中することができます。
この参考書をやれば『センター試験や中堅私大レベルの英文』なら大半が読めるようになると思います。
また、字も大きくて見やすいですし見開き1ページで完結するので
サクサク進んでやる気を継続できます!
高校英文解釈はまずはここからはじめましょう!
(2)カリスマ講師の 日本一成績が上がる魔法の英文読解ノート
値段 | 1620円 |
発売日 | 2015/4/15 |
対象 | 中堅私大・センター試験~難関私大・国公立を目指す人 |
カバー範囲 | 高校標準~難関大私大・国公立大レベル |
おススメ度 | ★★★(とってもオススメ!) |
この本は上で紹介した『高校英文読解をひとつひとつわかりやすく。』を
やった後にもう一段階上の英文読解能力を身につけるために最適な英文解釈の参考書です。
『標準~難関・最難関』のレベルに引き上げてくれる参考書は世の中にたくさんあるのですが
その中でも『説明の量とわかりやすさ』・『習得できる知識の全体量のバランス』・『レイアウトの見やすさ』
を考えると、一番クオリティが高いと思います。
説明がくどくなくかつ非常にわかりやすく書かれていて、誰もが取り組みやすいものになっていますし
見開き1ページ完結&オールカラーで見やすいものになっています。
英文解釈の勉強は一つ間違えるとオーバーワークになってしまいがちなのですが
この参考書をやれば適切な量で、最難関でも十分戦える盤石の基礎力を身につけることが出来ると思います。
本当におすすめの参考書です!
(3)吉ゆうそうの英文読解 解テク101
値段 | 1512円 |
発売日 | 2015/11/1 |
対象 | 難関私大・国公立を目指す人 |
カバー範囲 | 難関大私大・国公立大レベル |
おススメ度 | ★★(オススメ!) |
『カリスマ講師の日本一成績が上がる魔法の英文読解ノート』をやった後に
アウトプット教材として適切なのがこの『解テク101』になります。
英文を読んでいく際に、知っておくと役立つ英文読解の知識を
101テーマに分けて解説してくれています。
この参考書のいいところは『魔法の英文読解ノート』をやった後にアウトプットとして
取り組むのにちょうどいい難易度の英文が掲載されているところです。
この難易度の英文をたくさん掲載してくれている参考書はほとんどないですし
基本的に1文だけを抜き出しているのではなく文章の内容をある程度考慮できるように
1パラグラフごとに抜き出してくれているので文章の論理構造を追う練習もすることが出来ます。
この問題集を完璧にするだけでかなりの読解力がつくと思います。
しかし、1つ注意点があります。
解説が非常に簡潔で、訳も意訳しているところがあるため
これに取り組んでいくためには最低限『魔法の英文読解ノート』くらいの知識や
標準的なレベルの単熟語は知っていないと進めていくのが難しいかもしれません。
またわからないところがあれば、すぐ質問ができるような環境で使うのが理想です。
わからないところがあれば塾の先生や学校の先生に聞くようにしましょう。
私も英語の指導をしておりますので『質問する場所がない…』という方は
ぜひお気軽にご相談くださいね:)
(4)ポレポレ英文読解プロセス50
値段 | 818円 |
発売日 | 1993/9/1 |
対象 | 最難関私大・国公立を目指す人 |
カバー範囲 | 最難関大私大・国公立大レベル |
おススメ度 | ★★(オススメ!) |
『解テク』をこなした後
と思っている人にオススメの参考書です。
みんなが躓きやすい英文読解の難所を50テーマに分けて説明してくれています。
ポレポレの特徴としては『ライオンマーク』がついている問題があり
その『ライオンマーク』がついている問題の難易度が非常に高いと有名です。
初見では理解できないことの方が多いと思います。
それでも、MARCHや関関同立などの難関大レベルから
早稲田・慶応などの最難関大学レベルに引き上げるときに
取り組むことが出来れば必ず力になる参考書です。
しかし、時間がない方は『解テク』だけでも十分難関大で戦う力を養うことができると思います。
あくまで『解テク』をこなした後に余裕があれば取り組むようにしましょう。
※ただし京大などの最難関を目指す場合は、解テクをこなした後に
もう一段階上の解釈の参考書をやった方がよいです。
最難関対策なら、時間があれば下で紹介する『英文読解の透視図』をやるのがよいと思いますが
時間がない方は代用として『ポレポレ』をやるとよいと思います。
(5)基礎英文問題精講
値段 | 1026円 |
発売日 | 2004/9/22 |
対象 | 難関私大・国公立を目指す人 |
カバー範囲 | 難関大私大・国公立大レベル |
おススメ度 | ★★(オススメ!) |
次は『基礎英文問題精講』の説明をさせていただきます。
これも昔からある参考書で、今でも多くの受験生が使っています。
この参考書を使うとするならば『解テク101』の代わりに使うことになると思います。
この参考書の特徴としては『とにかく問題量が多い』ということです。
この参考書に入っている英文を読むだけでもかなりの英文を読んだことになるでしょう。
また様々なテーマに関連する英文が入っていますので
いろいろな分野に関する単語や熟語、背景知識を得ることもできます。
しかし、注意点としては『解テク』同様に解説が少ないため
『英文解釈ノート』程度の内容は理解して取り組んだ方が良いということと
周りに質問できる人がいる環境で使用した方が良いという点です。
『英文解釈ノート』を学んだあとには、この『基礎英文問題精講』か
『解テク101』のどちらかで演習を積むことにしましょう!
(6)英文読解の透視図
値段 | 1512円 |
発売日 | 1994/1/20 |
対象 | 最難関私大・国公立を目指す人 |
カバー範囲 | 最難関大私大・国公立大レベル |
おススメ度 | ★★★(とってもオススメ!) |
この『英文読解の透視図』は、京大をはじめとした
大学受験で最難関レベルの英文が出題される大学を受ける生徒さんがよく使っている参考書です。
この参考書は、ポレポレと同様に
『受験生が必ずつまずく英文読解の難所』をまとめて扱ってくれています。
この参考書の良いところは
同じレベルの参考書と比べて解説が非常にわかりやすく
難しい英文を取り扱っているのにも関わらず
それを感じさせないほど取り組みやすいものになっていることです。
現在売られている最難関大を目指す受験生向けの英文解釈の参考書の中で最もおすすめの参考書です!
最難関大を受ける人で、英文解釈にまだ時間を割く余裕がある人はぜひ取り組んでみてくださいね!
いかがでしたでしょうか。
今回は英文解釈について話させていただきました。
英文解釈は方法さえ間違えなければ
必ずできるようになりますし、絶対的な英語力の基礎となってくれるはずです。
効果的な参考書を使って、成果の出る方法で英文解釈の勉強をして
英語力を飛躍的にアップさせてくださいね!
なにか質問等があれば、コメント欄か
お気軽にお問合せください:)
それでは、おおぐしでした。